一口に表現論といっても, 様々な種類がある。群の表現に限っても, 有限群の表現か, 代数群の表現か, Lie 群の表現か, また有限群の表現も標数
\(0\) の体上で考えるか (通常表現), 正標数で考えるか (モジュラー表現) で大きく異なる。もちろん, 群ではなく, Lie 環や associative
algebra の表現も重要である。
教科書はたくさんあるが, 最初に勉強するにはどれがよいのだろうか。 Khovanov の有限群の表現論の講義のページには, web
から入手できるものが多数挙げられているので, とりあえずそれらにめを通してみるのがよいかもしれない。
群 \(G\) の表現とは, 群という構造がある圏の object \(X\) の自己同型全体の集合 \(\mathrm {Aut}(X)\) に現われることを用いて, 準同型 \[ G \longrightarrow \mathrm {Aut}(X) \] 全体を考えることにより \(G\)
を調べようというアイデアに基づいている。\(X\) としてベクトル空間の圏などの良く分かっている圏の object を選べば, \(G\) に関する情報が得られるだろう,
ということである。
古典的には, 表現全体から環を作り, その環 (representation ring) を調べてきたが, より正確な情報を得るためには,
representation ring の categorification, つまり表現全体の成す圏を考えるのが自然である。その方向での研究も,
結構古くからある。
群の概念が拡張される (他の代数的な概念も) につれて, 必然的に表現の概念も拡張されてきた。 小圏の表現として統一して扱うことができるものもある。
古くからあるものとして Mackey functor がある。
fusion category や finite tensor category の表現なども考えられている。
また, 表現する場をベクトル空間よりもっと複雑な構造を持ったもの, つまり higher category に拡張することも考えられている。
また表現する代数的構造をより高次なものにすることも考えられている。
Up to homotopy での表現, あるいは homotopy coherent representation については, Porter と
Stasheff の [PS] がある。
References
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[PS]
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Tim Porter and Jim Stasheff. Homotopy coherent representations. arXiv:
2202.05322.
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