Lie群とLie環の基本

Lie群は, 代数的トポロジーの始まったときから重要な例の供給源であった。 もちろん今でもそうである。戸田と三村がLie群の位相についての本 [戸三78; 戸三79] を書いたのも, 一つにはそういう理由があったと思われる。

もちろん, Lie群やLie環の本は数多く出されている。色々見てみるのがいいだろう。

  • Lie群とその Lie algebra の定義
  • 極大トーラス (maximal torus) の定義
  • Cartan subalgebra
  • Cartan matrix
  • Weyl群 の定義
  • exponential map \[ \exp : \mathfrak {g} \longrightarrow G \] の定義

まずは, 具体的な例で極大トーラスや Weyl 群に慣れ親しんでおくのがよいだろう。

有限次元 Lie 群の場合, ホモトピー論的には, compact Lie 群だけ考えればよいが, compact Lie 群の圏と reductive algebraic group の圏が topological category として同値になることが, Jones, Rumynin, Thomas [JRT] によって示されている。Topological category は \((\infty ,1)\)-category の一つのモデルであるので, これは compact Lie群の圏と reductive algebraic group の圏が \((\infty ,1)\)-category として同値であることを意味する。 単なる圏としては, この2つの圏は同値ではないので, \((\infty ,1)\)-category がこのような状況を記述することに使えるのは面白い。

その他知っておくべきことは以下の通り。

  • Lie群や Lie algebra が単純 (simple) とか半単純 (semisimple) であること
  • root系とその Dynkin diagram
  • 複素数体上の simple Lie algebras の分類
  • Lie群と Lie algebra の関係
  • Iwasawa 分解

Getzler の [Get09] によると, Lie群とLie環の関係が simplicial set の言葉を用いることで拡張できるようである。 他にも Lie 群と Lie 環の関係を一般化しようという試みは色々ある。

Heckenberger ら [Hec06; HY08; CH09] は, Cartan matrix とその Weyl群の一般化として, Cartan scheme という概念を定義し, その Weyl groupoid や root系を定義している。

他に関係した概念として以下のものがある。

  • Tits building
  • topological affine Tits building [Mit88; KM07]

具体的な記述に基づく解説として, Carr と Garibaldi の [GC06] は分りやすい。

Lie群からは, 様々な方法で重要な空間が作られる。

Lie群を代数的トポロジーの視点から一般化したのが, Hopf 空間というものである。 Lie groupoid などの一般化もある。

無限次元多様体を考えると, 無限次元Lie群という概念を得る。 無限次元Lie環の中で分りやすいものとして, Kac-Moody Lie algebra がある。

References

[CH09]

M. Cuntz and I. Heckenberger. “Weyl groupoids with at most three objects”. In: J. Pure Appl. Algebra 213.6 (2009), pp. 1112–1128. arXiv: 0805.1810. url: https://doi.org/10.1016/j.jpaa.2008.11.009.

[GC06]

Skip Garibaldi and Michael Carr. “Geometries, the principle of duality, and algebraic groups”. In: Expo. Math. 24.3 (2006), pp. 195–234. arXiv: math/0503201. url: https://doi.org/10.1016/j.exmath.2005.11.001.

[Get09]

Ezra Getzler. “Lie theory for nilpotent \(L_{\infty }\)-algebras”. In: Ann. of Math. (2) 170.1 (2009), pp. 271–301. arXiv: math/0404003. url: http://dx.doi.org/10.4007/annals.2009.170.271.

[Hec06]

I. Heckenberger. “The Weyl groupoid of a Nichols algebra of diagonal type”. In: Invent. Math. 164.1 (2006), pp. 175–188. url: http://dx.doi.org/10.1007/s00222-005-0474-8.

[HY08]

István Heckenberger and Hiroyuki Yamane. “A generalization of Coxeter groups, root systems, and Matsumoto’s theorem”. In: Math. Z. 259.2 (2008), pp. 255–276. arXiv: math/0610823. url: http://dx.doi.org/10.1007/s00209-007-0223-3.

[JRT]

John Jones, Dmitriy Rumynin, and Adam Thomas. Compact Lie Groups and Complex Reductive Groups. arXiv: 2109.13702.

[KM07]

Nitu Kitchloo and Jack Morava. “Thom prospectra for loopgroup representations”. In: Elliptic cohomology. Vol. 342. London Math. Soc. Lecture Note Ser. Cambridge: Cambridge Univ. Press, 2007, pp. 214–238. arXiv: math/0404541. url: http://dx.doi.org/10.1017/CBO9780511721489.011.

[Mit88]

Stephen A. Mitchell. “Quillen’s theorem on buildings and the loops on a symmetric space”. In: Enseign. Math. (2) 34.1-2 (1988), pp. 123–166.

[戸三78]

戸田宏 and 三村護. リー群の位相(上). Vol. 14-A. 紀伊國屋数学叢書. 東京: 紀伊國屋書店, 1978.

[戸三79]

戸田宏 and 三村護. リー群の位相(下). Vol. 14-B. 紀伊國屋数学叢書. 東京: 紀伊國屋書店, 1979.