代数的トポロジーは, 幾何学的対象に対し代数的対象を対応させ, その代数的対象の構造を調べることにより幾何学的情報を得る。
より詳しい情報を得るためには, より複雑な代数的対象を用いる必要がある。
例えば, cohomology \(H^{*}(X;k)\) を次数付き \(k\)-加群とみなすだけでは区別できない空間も, 次数付き \(k\)-algebra とみなすと区別できることがある。\(\bbC \mathrm {P}^{2}\)
と \(S^{2}\vee S^{4}\) とか。 更に, Steenrod algebra 上の module algebra と考える方が, もっと良い情報を得られる。
とにかく, 環と加群の理論の基本は身に付けておかないといけない。
また, cohomology theory を表現する spectrum \(E\) は, cohomology の積に対応する射 \[ \mu : E\wedge E \rarrow {} E \] を持ち, ring
spectrum というものになる。 この ring spectrum に対しても, 通常の環論やホモロジー代数の類似が展開できる。
安定ホモトピー論との関係では, Mendéz の [Mén] もある。与えられた環が, 安定ホモトピー圏でのある object の
endomorphism ring として実現できるか, という問題を考えている。
もちろん, より一般に, Abel群の圏で enrich された圏が与えられたとき, その圏での object の endomorphism ring
として実現できる環はどのようなものか, という問題が考えられる。 群についての対応する問題は, 与えられた圏での object の
automorphism group として実現できる群はどんなものか, というものであるが, これについては色々調べられている。
環の場合の endomorphism ring としての実現問題は, どの程度調べられているのだろうか。
References
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[Mén]
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David Méndez. The ring of stable homotopy classes of self-maps of
\(A_n^2\)-polyhedra. arXiv: 2006.13724.
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