実数の集合に変な積と和を入れてできる “tropical semiring” 上で代数や代数幾何を行う tropical mathematics
という分野がある。 “\(1\)個の元から成る体” \(\F _1\) を考えている人もいる。
このような “generalized ring” 上の数論幾何 (Arakelov geometry の類似) を考えているのが Durov
の500ページ以上ある [Dur] であり, 非常に興味深い。そのタイトル通り, 数論幾何の枠組みを構築することが目的であるが,
simplicial \(\F _1\)-module が pointed simplicial set であることに着目して, モデル圏の言葉を用いているなど,
代数的トポロジーにも関係が深そうである。同じ方向では, Haran が [Har] で “generalized ring” という用語を定義して, \(\F _1\) は
“generalized ring” として実現できると言っている。 ただ, 環の一般化には様々なものがあるため, この名前は良くないと思う。
Durov の論文は568ページもある長大なものなので, まずは Scholbach の [Sch15] の section 2 で,
“generalized ring” のアイデアを見るのがよいかもしれない。
他にも様々な環の一般化が考えられているが, それらについては, 代数的構造の一般化と合せ, 次のページにまとめた。
References
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[Dur]
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Nikolai Durov. New Approach to Arakelov Geometry. arXiv: 0704.2030.
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[Har]
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Shai M. J. Haran. Non-Additive Prolegomena (to any future Arithmetic
that will be able to present itself as a Geometry). arXiv: 0911.3522.
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[Sch15]
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Jakob Scholbach. “Algebraic \(K\)-theory of the infinite place”. In: J.
Homotopy Relat. Struct. 10.4 (2015), pp. 821–842. arXiv: 1202.5203.
url: https://doi.org/10.1007/s40062-014-0085-4.
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