Lie bracket という “Jacobi identity” が成り立つ “skew-symmetric” な積を持つ代数的構造を Lie
algebra という。
Lie群やベクトル場など, 微分幾何の文脈で用いられる ものと, 純粋に代数的対象として考える場合がある。 Lie群からは,
その単位元での接空間を考えることで Lie algebra が作られるが, 逆に Lie algebra やそれに類するものの,
元になっている幾何学的対象を見つけるという問題も考えられている。 その手の問題を積分問題と呼ぶらしい。 Lie 群から Lie algebra
を作る操作を微分と考え, その逆だから積分というのだろう。
代数的に調べるときには, Poincaré-Birkoff-Witt の定理は有用である。
代数的トポロジーでは, ホモロジーやホモトピー群に現われる代数的構造としての Lie algebraが重要である。よって, 次数付きの
Lie algebra を考えることが多い。 その場合, Jacobi identity や skew-symmetricity について,
次数を考慮したものを考える。 更に微分を持つ differential graded Lie algebra もよく使われる。
例えば, ホモトピー群では, CohenとMooreとNeisendorfer [CMN79a; CMN79c; CMN79b]
のホモトピー群の exponent の研究に使われている。
標数 \(p>0\) の体では, Lie bracket 以外に, restriction という, \(p\)巾に対応する作用素を持つ restricted Lie algebra
を考えた方が良い場合が多い。代数的トポロジーでは, 多重ループ空間のホモロジー を調べる際に必要になる。May と Ponto の [MP12]
の Chapter 23 にまとめられている。
他にも Lie algebra の一般化は様々な方向で考えられている。
その他, Lie algebra に関係したこととして次のような話題がある。
References
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[CMN79a]
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F. R. Cohen, J. C. Moore, and J. A.
Neisendorfer. “Decompositions of loop spaces and applications to
exponents”. In: Algebraic topology, Aarhus 1978 (Proc. Sympos.,
Univ. Aarhus, Aarhus, 1978). Vol. 763. Lecture Notes in Math.
Berlin: Springer, 1979, pp. 1–12.
-
[CMN79b]
-
F. R. Cohen, J. C. Moore, and J. A. Neisendorfer. “The
double suspension and exponents of the homotopy groups of
spheres”. In: Ann. of Math. (2) 110.3 (1979), pp. 549–565. url:
http://dx.doi.org/10.2307/1971238.
-
[CMN79c]
-
F. R. Cohen, J. C. Moore, and J. A. Neisendorfer. “Torsion
in homotopy groups”. In: Ann. of Math. (2) 109.1 (1979),
pp. 121–168. url: http://dx.doi.org/10.2307/1971269.
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[MP12]
-
J. P. May and K. Ponto. More concise algebraic topology.
Chicago Lectures in Mathematics. Localization, completion, and
model categories. Chicago, IL: University of Chicago Press, 2012,
pp. xxviii+514. isbn: 978-0-226-51178-8; 0-226-51178-2.
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