Nerves and Classifying Spaces of Small Categories

Principal \(G\)-bundle分類空間 \(BG\)は, 位相群の圏から位相空間の圏への関手になるように構成できる。群は object が1つですべての morphism が isomorphism である圏であるから, 分類空間の構成を small categorytopological category に一般化しようというのは, 自然なアイデアである。逆に Borcherds は, ある群 \(\Gamma _{\Omega }\) を調べるために, \(B\Gamma _{\Omega }\) と分類空間がホモトピー同値になるような small category \(Q_4\) を構成するということを [Bor98] で行っている。とにかく, 分類空間の構成は群に留まらず small category や topological category で考えるのが自然である。

一般化するのはいいが, それが一体何を「分類」しているのだ, というのは自然な疑問であるが, それについては Weiss の答え [Wei05] がある。Weiss の答え以外にも色々な答えがあってしかるべきだと思う。

さて, small category の分類空間については, まずは Dwyer の解説 [DH01] を読むとよい。G.B. Segal の論文 [Seg68] も参考にするとよい。 最近の本としては Richter の [Ric20] がある。

この Segal の論文は, small category の分類空間が世の中に広く知られるようになる切っ掛けとなった文献としても重要 である。もっとも, Segal 自身は, その論文の中で small category の分類空間は Grothendieck の idea によるものだと言っている。実際, Cegarra と Heredia の [CH14] や Gagna の [Gag18] では, Grothendieck [Gro95b] が参照されている。Segal の論文では [Gro95a] が参考文献に挙げられているが, nerve の構成は [Gro95b] で登場する。

このことから, small category の分類空間の構成は, 群の分類空間の構成とは独立に, Grothendieck により導入されたものと考えるべきだろう。Milgram による群の分類空間の構成 [Mil67] が, Grothendieck の nerve による構成と一致するのは, 恐らく偶然である。

Small category の分類空間の様々な重要な性質は, Quillen の ”Higher algebraic \(K\)-theory: I” [Qui73] にまとめられている。 もっとも, Theorem A, B の証明は, Segal との議論によるところが大きいと書いてあるが。 Small category の分類空間を扱う際には, この Quillen の論文には必ず目を通しておくべきである。 また, poset の場合については, Quillen の論文 [Qui78] にある。

  • Small category \(C\)のnerve \(NC\)の定義。Nerve を取る操作は small category の圏から simplicial set の圏への functor である。
  • \(N\) はleft adjoint (categorization) を持つ。 [Tho79, 1.3 Remark]
  • Small category \(C\) の分類空間 \(BC\) の定義。分類空間を取る操作は small category の圏から位相空間の圏への functor である。

Small category の分類空間は 群の分類空間の拡張になっているが, より正確には Milgram の分類空間の拡張, というべきである。 群の分類空間については, 他にも Milnor による構成がある。 その category 版は, Segal [Seg68] により定義されている。 Milgram の分類空間との比較は, tom Dieck [Die74] が考えている。 最近でも Yi-Sheng Wang [Wan] が証明を考えている。

  • Segal’s classifying space

分類空間と nerve の基本的な性質としては, まず次のものを知っている必要がある。

  • Small category の間の functor \[ f, g : C \longrightarrow D \] に対し, \(f\) から \(g\) への natural transformation が存在するなら \[ Bf \simeq Bg : BC \longrightarrow BD \] である。

    特に \(f\)が left adjoint または right adjoint ならば \(Bf\) は homotopy 同値 である。よって \(C\) と \(D\) が圏として同値ならば \(BC\) と \(BD\) はホモトピー同値である。

  • \(C\) が initial object あるいは terminal object を持つならば, \(BC\) は可縮である。
  • \(C\) が filtering ならば \(BC\) は可縮である。
  • 積を保つ。 \[ B(C\times D) \cong BC\times BD \]

積があれば “mapping space” を考えるのが自然であるが, それについては Rezk の [Rez01] に書いてある。

  • \(N(C^{D}) \relation {\simeq }{w} NC^{ND}\)

Nerve そのものの性質としては, まず Lee による groupoid の nerve の特徴付け [Lee72] がある。より一般に small category の nerve の特徴付けは, 例えば Lurie の [Lur09] に Proposition 1.1.2.2 として述べられている。

  • \(N(C)\) が Kan complex である必要十分条件は \(C\) が groupoid であること。
  • small category の nerve の horn からの morphism の拡張可能性による特徴付け (Lurie の [Lur09] の Proposition 1.1.2.2)。

この small category の nerve の特徴付けは, quasicategory の定義を理解するのに重要である。

Functor から誘導された写像が「良い性質」を持つのがどのような場合か, というのは非常に重要な問題である。有名な事実として Quillen による Theorem A と B がある。

Small category の分類空間の例としては, 以下のものを知っているとよいだろう。

  • 有限集合 \(S\) に対し \(\mathcal {P}(S)\) を \(S\) の部分集合と包含写像の成す圏, つまり巾集合の圏とする。 すると, 同相 \[ B\mathcal {P}(S) = \mathrm {Map}(S,I) \cong I^{|S|} \] がある。 ここで \(|S|\) は \(S\) の cardinality である。
  • \(\Lambda \) を Connes の cyclic category とすると \[ B\Lambda \cong S^1 \]
  • Numerable な被覆 \(\mathcal {U} = \{U_{\alpha }\}_{\alpha \in A}\) を持つ位相空間 \(X\) に対し, Segal [Seg68] は simplicial space \(X(\mathcal {U})\) を考察した。その分類空間は \(X\) と弱ホモトピー同値になるので, \(X(\mathcal {U})\) は \(X\) の “simplicial model” とも言える。

Segal の考察した被覆に付随した simplicial space は, tom Dieck が [Die71] で“局所ホモトピー同値”が全体のホモトピー同値になるための条件を調べるのに使っている。 Segal 自身は, Serre spectral sequence に用いている。

Small (topological) category の分類空間は, simplicial space の幾何学的実現なので, その (コ) ホモロジーに対しては, simplicial space の homology spectral sequence が使える。群の場合と同様, 位相が discrete な場合は, \(E^2\)-term で collapse し, 分類空間の (コ) ホモロジーの derived functor としての記述が得られる。

Small category の (co)homology と (co)limit の derived functor の関係は, 空間レベルでは homotopy colimit を用いて考えればよい。これらのことについては, 例えば Fiedorowicz と Loday の [FL91] を見るとよいかもしれない。

Homotopy colimit と small category の分類空間の関係では, Thomason の homotopy colimit theorem が有名である。

考えている category がある構造を持つとき, その分類空間もその構造を引き継ぐことが多い。例えば, category の object に対し “dual” を取る操作が定義されているときには, その分類空間に \(\Z /2\Z \) 作用が誘導される。 Topological category に対しては, nerve は simplicial space として構成すべきである。

このような nerve や分類空間の一般化については, 次にまとめた。

References

[Bor98]

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[CH14]

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[DH01]

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