多様体の (コ) ホモロジーの性質

多様体(co)homology の性質の中で, 最も基本的なのは Poincaré duality である。 Poincaré duality は, 向き付け可能な多様体基本類を用いて定義されるが, 基本類を用いると多様体の間の写像についても調べることができる。

これらの duality は stable homotopy category で考えれば spectrum level で議論できる。 私は Adams の本 [Ada74] で学んだ。 より新しい解釈として, Ralph Cohen の [Coh04] がある。

より幾何学的な問題に取り組むためには, まずは, 微分形式による de Rham (co)homology を知っている必要がある。de Rham は, 元々は homology を current を用いて表わしたようであるが。

Lie 群の作用を持つ多様体に対しては, equivariant de Rham 理論が展開できる。

de Rham cohomology は, 多様体上の 椄束 (余椄束) の言葉で定義されるものである。 より一般にベクトル束の不変量として, 特性類と呼ばれるコホモロジー類を考えることも重要である。

これらは “primary” characteristic class である。Chern-Simons の secondary characteristic class も様々な応用がある。 微分形式で表現することもできるが, 最近は Deligne cohomology の元として考えることが多い。

Chern character は, \(K\)-theory から有理数係数のコホモロジーへの multiplicative な natural transformation とみなすのが自然である。同様に cobordism から別のコホモロジー論への natural transformation を考えると, 係数環の間の対応は多様体の cobordism 不変量を与え, genus というものになる。

Joyce は, 多様体や effective orbifold の (co)homology を (co)chain level で考えるために, \(M\)-(co)homology という新しい構成方法を [Joy] で導入した。“compact support” 版や “Borel-Moore” 版や “de Rham” 版も定義している。

  • M-(co)homology

M は Manifold の M だそうである。 多様体 \(M\) に対し, その\(k\)次元 chain complex の生成元は \(M\) と \(\R ^n\) の間の span \(M\leftarrow V\rightarrow \R ^n\) で \(V\) が \(n+k\) 次元の manifold with corners で, ある条件をみたすもので与えられている。

可微分構造以外の多様体の様々な構造も, (co)homology に反映される。例えば, 複素多様体の cohomology については, 例えば Wells の本 [Wel80] がよいだろう。

  • 複素多様体の Hodge 理論

Betti 数の評価や胞体分割との関係では, Morse 理論がある。

複素多様体を考えるときには, いや可微分多様体でも, を用いると便利なことが多い。de Rham complex も層と思った方がよい。 Malikov と Schechtman と Vaintrob の chiral de Rham complex [MSV99] も層の cohomology で定義されている。

Chiral de Rham complex は, vertex algebra に値を持つ層である点で興味深い。

解析的な手法を使って不変量を定義することもできる。実係数の singular homology 上に定義される \(\ell ^1\)-seminorm を用いてホモロジー類の “norm” を測ることができる。Gromo vは, 基本類の \(\ell ^1\)-seminorm を, その多様体の simplicial volume と定義した。 Thurston は, measure homology の概念を導入し, simplicial volume はそちらで考えた方が自然だと考えているようである。

References

[Ada74]

J. F. Adams. Stable homotopy and generalised homology. Chicago, Ill.: University of Chicago Press, 1974, p. x 373.

[Coh04]

Ralph L. Cohen. “Multiplicative properties of Atiyah duality”. In: Homology Homotopy Appl. 6.1 (2004), pp. 269–281. url: http://projecteuclid.org/euclid.hha/1139839554.

[Joy]

Dominic Joyce. Some new homology and cohomology theories of manifolds and orbifolds. arXiv: 1509.05672.

[MSV99]

Fyodor Malikov, Vadim Schechtman, and Arkady Vaintrob. “Chiral de Rham complex”. In: Comm. Math. Phys. 204.2 (1999), pp. 439–473. url: http://dx.doi.org/10.1007/s002200050653.

[Wel80]

R. O. Wells Jr. Differential analysis on complex manifolds. Second. Vol. 65. Graduate Texts in Mathematics. Springer-Verlag, New York-Berlin, 1980, pp. x+260. isbn: 0-387-90419-0.