ベクトル空間と線型写像

代数的トポロジーでも, 様々な context でベクトル空間が使われる。 例えば体 \(k\) を係数に持つホモロジー群 \(H_*(X;k)\) は \(k\) 上のベクトル空間である。

ベクトル空間とは, 体上の加群のことであるから, 代数の基礎を勉強してあればその代数的性質は知っているはずである。

  • 体上の加群は, 自由である。 よってベクトル空間は基底を持つ。
  • ベクトル空間の tensor product の定義
  • ベクトル空間の exterior power の定義
  • ベクトル空間の dual と Kronecker product の定義

線形代数では, 普通ベクトル空間の元に対して一次結合を用いて一次従属や一次独立を定義し, 基底や次元などを定義する。 この一次従属性を調べるものとして, H. Whitney が導入したのが, matroid の概念である。

  • 一次独立と一次従属
  • 有限個のベクトルの集合 (vector configuration) に対し, その一次従属性の集合とそこから得られる matroidoriented matroid

(体係数の) ホモロジー群のようなものは, 次数付きベクトル空間となる。

  • 次数付きベクトル空間
  • 次数付きベクトル空間は homogeneous な基底を持つ。

線型写像は, ベクトル空間が無限次元の場合は線型作用素と呼ばれることが多 い。そしてベクトル空間には位相が入っていて 位相ベクトル空間 になっているのが普通である。これらは線形代数というより 関数解析学の守備範囲である。

ベクトル空間に位相を入れる際に重要なのが, 内積や norm である。

Semi-norm はAbel群に対するものも使われる。 Gromov [Gro99] の functorial semi-norm など。

関数解析で使われるものの他に, 純粋に代数的にベクトル空間の duality を扱うために導入された位相もある。

References

[Gro99]

Misha Gromov. Metric structures for Riemannian and non-Riemannian spaces. Vol. 152. Progress in Mathematics. Based on the 1981 French original [ MR0682063 (85e:53051)], With appendices by M. Katz, P. Pansu and S. Semmes, Translated from the French by Sean Michael Bates. Boston, MA: Birkhäuser Boston Inc., 1999, pp. xx+585. isbn: 0-8176-3898-9.