Lack が [Lac07] で書いているように, \(2\)-category とホモトピー論の関係として, 最も単純なのは fundamental
\(2\)-groupoid である。つまり object をある空間の点, \(1\)-morphism を (Moore) path, \(2\)-morphism を (Moore)
homotopy として得られるものである。このことから, \(2\)-category を \(\pi _0\) と \(\pi _1\) と \(\pi _2\) の情報のみ持つ「空間」として扱うというのは,
自然なアイデアのように思える。そのように見たときの, 古典的なホモトピー論 での \(2\)-category の応用としては, Toda bracket
が挙げられる。
このような単純な analogy 以外にも, \(2\)-category は様々な方向から代数的トポロジーに関係している。 もちろん,
他の数学の分野とも色々関係している。
\(2\)-category の定義と基本的な性質については Ganter と Kapranov の [GK08] の§2が簡潔にまとまっている。Mac Lane
の本の第2版 [Mac98] の Chapter XII にも \(2\)-category や bicategory についての記述がある。Lack の [Lac10]
もある。
より正確には, bicategory として, associativity や unit の条件を up to natural isomorphism
で考えるべきである。
Bicategory の解説として, Leinster の [Lei] がある。 逆に, 任意の bicategory は, strict \(2\)-category と
bicategory として同値になる。 いわゆる coherence theorem である。
\(2\)-category や bicateogry の間の “functor” やその間の natural transformation を考えるときには,
\(2\)-morphism も考慮に入れるべきである。
このような複雑な構造を扱うときには, 現在では, \((\infty ,2)\)-category の枠組みで考えるのも一つの手である。
\(2\)-category の解釈として, monoidal category の一般化と考えるのは結構有効である。まず monoidal category
のことを勉強してから, その性質を \(2\)-category や bicategory に一般化することを考えると, 理解しやすい。
- monoidal category は object 1つの bicategory
例えば, string diagram も \(2\)-category に拡張できる。 というより, \(2\)-category で考えた方が自然である。
また, monoidal structure を \(2\)-category 上で考えることもできる。 定義は, Kapranov と Voevodsky の
[KV94] にある。 2-category の category の Gray tensor product を用いたものも, Gordon と Power
と Street の [GPS95] や Day と Street の [DS97] などにより考えられている。
- monoidal \(2\)-category (bicategory)
\(2\)-category を代数的構造の高次版として考え, その表現論を展開することもできる。
他にも様々な構造を bicategory の上で考えることができる。
通常の category の上の model structure は morphism に関する条件であるが, \(2\)-category の上の model
structure には, \(2\)-morphism に関する条件をつけるべきである。 これについては, Lack の [Lac10] や Gambino の
[Gam08] に書いてある。
これは, \(2\)-category を通常の category に \(2\)-morphism を追加したものと考えた見方である。一方で, object \(1\)つの
\(2\)-category が monoidal category であることから, \(2\)-category を monodal category の
many-objectification とみなすことも一般的であり重要である。この視点からは, monoidal model category
の一般化としての \(2\)-category 上の model structure の定義が考えられる。例えば, N. Johnson の [Joh]
などである。
ホモロジー代数の高次化としては, Abel圏の\(2\)次元化 を考えている Nakaoka の [Nak08] がある。M. Dupont の
[Dup] もある。 それらの比較が [Nak10] で行なわれている。
ホモトピー論との関係としては, その分類空間も重要である。
圏の概念の2次元化としては, 他にも double category とか pseudo category などといった概念がある。
Fiore の [Fio07] で, それらの “category の categorification” が比較されている。この Fiore の論文は,
数理物理, 特に conformal field theory などへ の応用を念頭に置いたものである。Morton の [Mor09] の最初には,
strict \(2\)-category と bicategory と double category が順に比較して説明されている。その論文の目的は, corner を
持つ多様体の cobordism category の構造であるが。
2-category に類するものとしては, Mirmohades の [Mir] で使われている sesquicategory や
sestercategory がある。Sesquicategory とは, 2-category の horizontal composition と
vertical composition の関係を弱めたもの, sestercategory は sesquicategory で enrich
されたようなものである。
- sesquicategory
- sestercategory
Bicategory の図式に対する Grothendieck construction (homotopy colimit)
を考えている人もいる。[CCG11] である。
このように \(2\)-category (bicategory) 全体を考えようとすると, \(2\)-category の成す category を考えなければならなくなる。
\(3\)-category になるので面倒であるが。
\(2\)-category の category には Gray による別の monoidal structure も入る。
References
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