Bicategory の成す “category”

Bicategory の間の “functor” を考えるときには, \(2\)-morphism を考慮しなければならない。つまり, 通常の functor の定義の \(1\)-morphism の合成や identity morphism を保つという性質が, ピッタリ \(=\) で成り立つと期待できないからである。 せいぜい isomorphism, あるいは単に 2-morphism があるだけ, という場合もありうる。 つまり \[ F(g\circ f) = F(g)\circ F(f) \] ではなく, 例えば, \[ F(g)\circ F(f) \Longrightarrow F(g\circ f) \] という \(2\)-morphism があるだけ, ということである。 このようなものを, lax functor と呼び, その間の natural transformation として left transformation あるいは right transformation などの概念が自然に定義される。 Street の [Str72] を見るとよい。

  • lax functor
  • left (colax) transformation と right (lax) transformation

Lax functor の定義に現れる 2-morphism の向きを逆にしたものは, oplax functor とか colax functor と呼ばれている。 例えば Gurski の [Gur09] では oplax functor と呼ばれているが, Leinster の [Lei04] では colax functor と呼ばれている。 前者は, \(1\)-morphism と \(2\)-morphism にかかわらず, 向きを逆にしたものを全て op で表すという流儀であるが, 後者は, \(1\)-morphism の向きを逆にしたものを op で, \(2\)-morphism の向きを逆にしたものを co で表して区別する, という方法である。 後者の方がよいように思う。

  • oplax functor あるいは colax functor

またその 2-morphism が isomorphism になるものは pseudofunctor や weak functor と呼ばれることが多いようである。 その間の transformation としては pseudonatural transformation と呼ばれるものを考えるのが自然である。その定義は, 例えば Lucas の [Luc17] にある。

  • pseudofunctor あるいは weak functor
  • pseudonatural transformation

これらは, fibered category や cofibered category を考えるときに自然に必要になる概念である。

Di ら [Di+a; Di+b] は, small category \(J\) から Abelian category の category への pseudofunctor のことを Abelian category の \(J\)-diagram と呼んで, その表現などを調べている。 様々な代数的構造の一般化になっているようである。

2-morphism としては, Lack [Lac10] が提唱している icon というものがある。Lack は bicategory と lax functor と icon で strict 2-category になることを示している。

  • icon

Bacard の [Bac] で, ある種の弱い意味の enriched category を定義するのに使われている。

References

[Bac]

Hugo V. Bacard. Lax Diagrams and Enrichment. arXiv: 1206.3704.

[Di+a]

Zhenxing Di, Liping Li, Li Liang, and Nina Yu. Representations over diagrams of abelian categories I: Global structure and homological objects. arXiv: 2210.08558.

[Di+b]

Zhenxing Di, Liping Li, Li Liang, and Nina Yu. Representations over diagrams of abelian categories II: Abelian model structures. arXiv: 2308.03067.

[Gur09]

Nick Gurski. “Nerves of bicategories as stratified simplicial sets”. In: J. Pure Appl. Algebra 213.6 (2009), pp. 927–946. url: http://dx.doi.org/10.1016/j.jpaa.2008.10.011.

[Lac10]

Stephen Lack. “Icons”. In: Appl. Categ. Structures 18.3 (2010), pp. 289–307. arXiv: 0711.4657. url: http://dx.doi.org/10.1007/s10485-008-9136-5.

[Lei04]

Tom Leinster. Higher operads, higher categories. Vol. 298. London Mathematical Society Lecture Note Series. Cambridge: Cambridge University Press, 2004, pp. xiv+433. isbn: 0-521-53215-9. arXiv: math/0305049. url: http://dx.doi.org/10.1017/CBO9780511525896.

[Luc17]

Maxime Lucas. “A coherence theorem for pseudonatural transformations”. In: J. Pure Appl. Algebra 221.5 (2017), pp. 1146–1217. arXiv: 1508.07807. url: https://doi.org/10.1016/j.jpaa.2016.09.005.

[Str72]

Ross Street. “Two constructions on lax functors”. In: Cahiers Topologie Géom. Différentielle 13 (1972), pp. 217–264.