球面 (sphere) は, 代数的トポロジーにおいて, 最も基本的な空間の構成要素の一つである。それは, CW 複体が球面からの写像による
mapping cone を繰り返し取ることにより得られるからである。よって, CW複体のホモトピー型については,
ホモトピー群が最も本質的な情報を持っている。 古くから球面のホモトピー群が中心的研究対象になっているのはそのためである。
球面のホモトピー群は, そのほとんどが有限アーベル群であるので, 素数 \(p\) を固定し, \(p\)成分のみ取り出して考えることができる。
それを空間レベルで行うことを目的に開発されたのが, 空間の局所化の理論である。 まず, CW複体 \(X\) の素数 \(p\) での局所化 \(X_{(p)}\) が70年代に構成された。
球面について, まずは次を知っているべきだろう。
- \(p\) を奇素数としたとき, \[ (\Omega S^{2n})_{(p)} \simeq S^{2n-1}_{(p)}\times \Omega S^{4n-1}_{(p)}. \]
その後, Bousfield により, 一般ホモロジー論 (spectrum) に対する局所化が導入されたが, chromatic homotopy
theory の視点からは, Morava \(K\)-theory \(K(n)\) や Johnson-Wilson theory \(E(n)\) に関する球面スペクトラムの局所化 \(L_{K(n)}S\), \(K_{E(n)}S\)
が重要である。
\(L_{K(1)S}\) のホモトピー群は, Ravenelの[Rav84] で決定された。
球面スペクトラムを構成するのは, 球面そのものやそのループ空間であるが, それらの \(K\)-theory localization は
MahowaldとThompson [MT92], そして Langsetmo [Lan93] により調べられている。
\(L_{K(2)}S\) については, 近年盛んに調べられている。例えば, Goerss, Henn, Mahowald, Rezk [Goe+05] は \(p=3\) の場合の
homotopy limit による分解を得ている。Goerss と Henn [GH] は, Brown-Comenetz dual
を調べている。
球面スペクトラムから \(K\)-theory に関係した部分を取り出す方法として, より古くから知られているのは, \(J\) homomorphism
を用いて, (空間レベルで) \(\mathrm{Im} J\) と \(\mathrm{Coker} J\) に分解する方法である。これは, Adams予想の解決により得られた。
References
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[GH]
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Paul G. Goerss and Hans-Werner Henn. The Brown-Comenetz dual
of the \(K(2)\)-local sphere at the prime \(3\). arXiv: 1212.2836.
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[Goe+05]
-
P. Goerss, H.-W. Henn, M. Mahowald, and C. Rezk. “A
resolution of the \(K(2)\)-local sphere at the prime 3”. In: Ann. of
Math. (2) 162.2 (2005), pp. 777–822. arXiv: 0706.2175. url:
http://dx.doi.org/10.4007/annals.2005.162.777.
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[Lan93]
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Lisa Langsetmo. “The \(K\)-theory localization of loops on an odd
sphere and applications”. In: Topology 32.3 (1993), pp. 577–585. url:
http://dx.doi.org/10.1016/0040-9383(93)90009-K.
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[MT92]
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Mark
Mahowald and Robert D. Thompson. “The \(K\)-theory localization of
an unstable sphere”. In: Topology 31.1 (1992), pp. 133–141. url:
http://dx.doi.org/10.1016/0040-9383(92)90066-Q.
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[Rav84]
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Douglas C. Ravenel. “Localization with respect to certain periodic
homology theories”. In: Amer. J. Math. 106.2 (1984), pp. 351–414.
url: http://dx.doi.org/10.2307/2374308.
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