この web site は, 代数的トポロジーに関係した文献を探すためのガイドとして作っているものであるが, この site を利用する前に,
まず基本的な文献の探し方を知っていないといけない。 探し出した 文献の管理も重要である。
文献を探すときには, Mathematical Review の online 版の MathSciNet を使う人が多いようである。
文献のデータベースとしてはとても有用であるが, 私自身は review 自体はあまり参考にしたことがない。
本の reviewとしては MAA (Mathematical Association of America) の book review
がよいと思う。“Algebraic Topology” などとして topic を指定して browseできるのもよい。
また, 「良い本」を知っていると勉強が楽になる。
そして, 代数的トポロジーのような, 抽象化が大きな流れとなっている分野を勉強するときには, “morally true” であることは何なのか,
を考えながら文献を読むとよいように思う。 この言い方は, 日本語には翻訳するのは難しいが, Eugenia Cheng の [Che] で,
うまく説明されている。
また, 勉強するときの動機として, 目標となる問題を持っていた方がよい。 学生時代に, 現在何が分かっていて何が問題になっているか,
を把握するのは難しいが, なるべく広い視野で主要な open problem に目を通しておくと有用であるが, そのような problem list
はどんどん古くなってしまう。 何か問題を思い付いたら, MathOverflow で現在の status を聞くのがいいかもしれない。
その MathOverflow で, 数学ではどのような問題が重要か, という誰でも一度は疑問に思ったことがある問いが質問されている。
Gil Kalai の回答を始めとして, 様々な意見があって面白い。 そこでも挙げられているが, Tao による Bulletin of
A.M.S.の記事 [Tao07] もある。 その後, その続編ともいうべき Interview が Quanta Magazine
に出た。
もちろん, 人により答えは違っていて然るべきであり, 自分なりの答えを考えるのは大事だと思う。 そして,
様々な文献を読んだり他に人の話を聞いたりしていくにつれ, その答えも変っていくのが自然である, と思う。
数学の文献では, 定義 \(\to \) 命題 \(\to \) 証明の流れが基本的であるが, それだけだと読むのが苦痛である。 もしかすると, 数学の文献はそんなもんだと思い込んでいて,
苦痛であることに気がついていない人も多い気がする。 読んで「楽しい」論文を書くにはどのようなことに気をつければいいかを, Baez が
ここに書いている。 納得できる意見である。
References
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[Che]
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Eugenia Cheng. Mathematics, morally. url: http://eugeniacheng.com/wp-content/uploads/2017/02/cheng-morality.pdf.
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[Tao07]
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Terence Tao. “What is good mathematics?” In: Bull. Amer. Math.
Soc. (N.S.) 44.4 (2007), pp. 623–634. arXiv: math/0702396. url:
https://doi.org/10.1090/S0273-0979-07-01168-8.
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