2-group

このページでいう \(2\)-group は, 位数 \(2\)巾の有限群, という意味ではなく, の概念の高次化である。 文献としては, まずは Baez と Lauda の [BL04] を挙げるべきだろうか。

群は object \(1\) つの small category で全ての morphism が可逆なものとみなすことができるので, 高次の圏を用いて高次化が考えられるわけである。 定義は, 以下の同値な条件のどれかで与えられる:

  • 群の圏の internal category, つまり category object
  • small category の圏の group object
  • object \(1\) つの small strict \(2\)-category で全ての \(1\)-morphism と \(2\)-morphism が invertible なもの
  • strict monoidal category で全ての object が invertible であり, underlying category が groupoid であるもの

下2つの定義をみると, strict という条件を外す方が「正しい」定義のように思える。 実際, そのようなものを categorical group と呼んで区別することもある。例えば, Joyal と Street の [JS93] など。 しかしながら, Schommer-Pries [Sch11] や Chatterjee ら [CLS15] のように, 最初のものを categorical group と呼んでいる人もいる。

この categorical group という名前について, Baez が この \(n\)-Category Café の投稿で, 誰が名付けたかについて議論している。

Schommer-Pries は, monoidal category \((M,\otimes ,1)\) で \[ (\mathrm {pr}_{1}\times \otimes ) : M\times M \rarrow {} M\times M \] が圏同値になるものを \(2\)-group と呼んでいる。

より一般に, 直積を持つ bicategory での \(2\)-group も定義できる。Baez と Lauda の [BL04] や Schommer-Pries の [Sch11] など。

\(2\)-group の概念もかなり一般的になってきた。やはり topological quantum field theory からの motivation が大きい。 \(n\)-Category Café でも話題になっている。

ホモトピー論からは, crossed module が重要な例の供給源である.表現論からの motivation については, Zhu の [Zhu] を見るとよい。対称群の 2-group 版については, Elugueta の [Elg14] にある。

実は, crossed module と \(2\)-group はほとんど同じ概念である。 これについては, Porst の [Por] に詳しく書かれている。

  • strict \(2\)-group の成す \(2\)-category と crossed module の成す \(2\)-category は \(2\)-equivalent である。

\(2\)-group に限って, 従来の群論とどこまで平行な議論ができるかを考える, というのは自然な問題である。

2つの \(2\)-group の間の weak map の成す groupoid について調べているのは, Noohi の [Noo] である。 その motivation の一つは, \(2\)-group の \(2\)-category の object への (weak) 作用を考えるためである。 中でも, stack への作用を主に考えているようである。

Noohi は, Aldrovandi と共に, より一般の \(n\)-group の成す \(n\)-category での weak map を考えているようである.その最初, \(2\)-group の場合が [AN09] である。

位相群の高次版を考えるためには, 位相空間の圏の category object を用いる必要がある。Baez と Lauda [BL04] は topological category と呼んでいるが, 位相空間の圏で enrich された category も topological category と呼ばれることが多いので注意が必要である。

  • topological \(2\)-group

Baez と Stevenson [BS09] は topological \(2\)-group を構造群に持つ \(2\)-bundle の分類定理を考えている。

Lie 群の類似を考えるためには, 可微分多様体の圏の category object を使う。Baez と Lauda は Lie \(2\)-group と呼んでいるが, Weis [Wei] は smooth \(2\)-group と呼んでいる。

Corey Jones [Jon21] は, \(C^{*}\)-algebra の anomalous symmetry を考えるために, 群 \(G\) の \(U(1)\) に値を持つ \(3\)-cocycle \(\omega \in Z^{3}(G;U(1))\) から, \(2\)-group \(2\mathrm {-Gr}(G,U(1),\omega )\) を定義している。また \(C^{*}\)-algebra \(B\) の \(*\)-automorphism 全体も \(2\)-group として考えることを提案している。

前者は, \(3\)-cocycle を用いた \(2\)-group の特徴付けによる。Corey Jones は, Baez と Shulman の [BS10] を参照している。そこでは, Postnikov 不変量と呼ばれているが。

References

[AN09]

Ettore Aldrovandi and Behrang Noohi. “Butterflies. I. Morphisms of 2-group stacks”. In: Adv. Math. 221.3 (2009), pp. 687–773. arXiv: 0808.3627. url: http://dx.doi.org/10.1016/j.aim.2008.12.014.

[BL04]

John C. Baez and Aaron D. Lauda. “Higher-dimensional algebra. V. 2-groups”. In: Theory Appl. Categ. 12 (2004), pp. 423–491. arXiv: math/0307200.

[BS09]

John C. Baez and Danny Stevenson. “The classifying space of a topological 2-group”. In: Algebraic topology. Vol. 4. Abel Symp. Berlin: Springer, 2009, pp. 1–31. arXiv: 0801.3843. url: http://dx.doi.org/10.1007/978-3-642-01200-6_1.

[BS10]

John C. Baez and Michael Shulman. “Lectures on \(n\)-categories and cohomology”. In: Towards higher categories. Vol. 152. IMA Vol. Math. Appl. New York: Springer, 2010, pp. 1–68. arXiv: math/0608420. url: http://dx.doi.org/10.1007/978-1-4419-1524-5_1.

[CLS15]

Saikat Chatterjee, Amitabha Lahiri, and Ambar N. Sengupta. “Twisted-product categorical bundles”. In: J. Geom. Phys. 98 (2015), pp. 128–149. arXiv: 1506.04427. url: https://doi.org/10.1016/j.geomphys.2015.08.005.

[Elg14]

Josep Elgueta. “Permutation 2-groups I: structure and splitness”. In: Adv. Math. 258 (2014), pp. 286–350. arXiv: 1308.2485. url: https://doi.org/10.1016/j.aim.2014.03.011.

[Jon21]

Corey Jones. “Remarks on anomalous symmetries of C*-algebras”. In: Comm. Math. Phys. 388.1 (2021), pp. 385–417. arXiv: 2011.13898. url: https://doi.org/10.1007/s00220-021-04234-4.

[JS93]

André Joyal and Ross Street. “Braided tensor categories”. In: Adv. Math. 102.1 (1993), pp. 20–78. url: https://doi.org/10.1006/aima.1993.1055.

[Noo]

Behrang Noohi. On weak maps between 2-groups. arXiv: math / 0506313.

[Por]

Sven-S. Porst. Strict 2-Groups are Crossed Modules. arXiv: 0812. 1464.

[Sch11]

Christopher J. Schommer-Pries. “Central extensions of smooth 2-groups and a finite-dimensional string 2-group”. In: Geom. Topol. 15.2 (2011), pp. 609–676. arXiv: 0911 . 2483. url: http://dx.doi.org/10.2140/gt.2011.15.609.

[Wei]

Christoph Weis. The Drinfel’d centres of String 2-groups. arXiv: 2202.01271.

[Zhu]

Xinwen Zhu. The 2-group of linear auto-equivalences of an abelian category and its Lie 2-algebra. arXiv: 0910.5699.