表現可能関手と Brown の表現定理

代数的トポロジーに現われる重要な反変関手, 特異コホモロジー, \(K\)理論, 主\(G\)束の同型類の成す集合 \(P_G(X)\), は, 全てホモトピー集合として表すことができる。 \[ \begin {split} H^n(X;G) & = [X,K(G,n)] \\ K(X) & = [X,\mathrm {BU}\times \Z ] \\ P_G(X) & = [X,BG] \end {split} \]

このような状況を一般化したのが, 表現可能関手 (representable functor) という概念である。 もっとも, 表現可能関手自体は, Yoneda embedding など, 圏を扱う場合には, 当然知っておくべき概念であるが。

上の例のような, Eilenberg-Mac Lane 空間による特異コホモロジーの表現や, principal \(G\)-bundle の同型類の \(BG\) へのホモトピー集合としての分類を一般化し, Ed. Brown [Bro62] は, 基点付きCW複体の圏から集合 (アーベル群) の圏への反変関手が, ホモトピー集合として表現可能になる条件を求めた。

  • 連結な基点付きCW複体の圏から集合の圏への関手に対する Brownの表現定理 [Bro62; Bro65]
  • 連結な基点付き有限複体の圏から群の圏への関手に対するBrownの表現定理 [Ada71]

証明は, Brown の原論文を読んでもいいと思うが, Macerato と Slaoui の [MS] が分かり易いと思う。 そこでは, Kochman の本 [Koc96] が参照されているが。

Brown の表現定理により, 一般コホモロジー\(\Omega \) スペクトラムによる表現が得られる。

一般コホモロジーは, stable homotopy category 上の関手だから, より一般に, triangulated category 上の contravariant functor を表現することを考えるのは自然な問題である。 それについては, Neeman の結果 [Nee92] がある。

  • triangulated category での Brown の表現定理の類似

これ以外にも様々な状況に一般化されている。

References

[Ada71]

J. F. Adams. “A variant of E. H. Brown’s representability theorem”. In: Topology 10 (1971), pp. 185–198. url: https://doi.org/10.1016/0040-9383(71)90003-6.

[Bro62]

Edgar H. Brown Jr. “Cohomology theories”. In: Ann. of Math. (2) 75 (1962). Correction in Ann. of Math., vol. 78 (1963), p. 201., pp. 467–484. url: https://doi.org/10.2307/1970209.

[Bro65]

Edgar H. Brown Jr. “Abstract homotopy theory”. In: Trans. Amer. Math. Soc. 119 (1965), pp. 79–85. url: https://doi.org/10.2307/1994231.

[Koc96]

S. O. Kochman. Bordism, stable homotopy and Adams spectral sequences. Vol. 7. Fields Institute Monographs. American Mathematical Society, Providence, RI, 1996, pp. xiv+272. isbn: 0-8218-0600-9. url: https://doi.org/10.1090/fim/007.

[MS]

Mark Macerato and Saad Slaoui. The Brown representability theorem, old and new. url: https://web.ma.utexas.edu/users/slaoui/notes/Brown_rep_v2.pdf.

[Nee92]

Amnon Neeman. “The Brown representability theorem and phantomless triangulated categories”. In: J. Algebra 151.1 (1992), pp. 118–155. url: http://dx.doi.org/10.1016/0021-8693(92)90135-9.