2つのモデル圏の間の functor としては, そのホモトピー圏の間の functor を誘導するものを考えるべきだろう。よって
Goodwillie 流の関手の微積分 で考えるように, weak equivalence を保つもの, つまり homotopy functor
を考えないといけない。 そして, モデル圏では weak equivalence 以外にも fibration と cofibration という2つの
morphism の class があるので, それらも保つことを要求したくなる。 ただ, weak equivalence と cofibration
(あるいはweak equivalence と fibration) が決まれば fibration (あるいは cofibration) が決まるので,
fibration か cofibration のどちらかでよい。そこで, cofibration と trivial cofibration を保ち left
adjoint であるものとして, left Quillen functor が定義される。その双対として right Quillen functor
が定義される。
-
left Quillen functor
-
right Quillen functor
-
Quillen adjunction
Quillen functor 達に対しては, ホモトピー圏の間に functor が誘導される。それらを total derived functor
という。 よって, モデル圏の間の morphism としては, Quillen adjunction を考えるのが普通である。
- right Quillen functor の total right derived functor
- left Quillen functor の total left derived functor
これらは, 例えば, homotopy (co)limit のモデル圏的な定義に用いられるし, André-Quillen (co)homology
の定義では本質的である。 このようなホモロジー代数の一般化としてのモデル圏については, Goerss と Schemmerhorn の [GS07]
を読むのが良い。
そして, Quillen equivalence があるとホモトピー圏の間の同値が誘導される。
-
Quillen equivalence
- Quillen equivalence は ホモトピー圏の間の同値を誘導する。
当然, どのような functor が Quillen functor になるかというのは, 重要な問題である。 Hirschhorn と
Volić [HV] は, model category が Reedy category からある model category への
functor category の場合を考えている。つまり, 2つの Reedy category \(C\) と \(D\) の間に Reedy functor \(f:C\to D\)
があったとき, model category \(\bm{M}\) に対し, 誘導された functor \(\bm{M}^{D}\to \bm{M}^{C}\) が left あるいは right Quillen functor
になる条件を考えている。
Stable model category に限定してであるが, Greenlees と Shipley [GS] は, ある条件の元で
Quillen adjunction が cellularization という局所化の操作を取った後で Quillen equivalence
になることを示している。彼らはこれを cellularization principle と呼んでいる。
- cellularization principle
少し異なる視点としては, モデル圏の間の functor \(F : \bm{C} \to \bm{D}\) が与えられたとき, \(F\) が object ごとにどのような影響を及ぼすか,
という問題がある。例えば, Freudenthal suspension という functor の影響を表すのが EHP sequence である。
Blanc は [Bla08] で, EHP sequence の一般化となる \(X\) と \(F(X)\) のホモトピー群を含む完全列を構成している。もちろん,
そのようなことができるためには, 位相空間のモデル圏と良く似た構造を持つモデル圏でないといけない。そのために, spherical model
category という概念を導入している。
モデル圏の間の関手を考えるということは, モデル圏の圏を考えているということである。すると, Quillen equivalence を weak
equivalence としてモデル圏の構造が定義できるか, というのは自然な疑問である。このような大きなものを扱うときには,
集合論的な困難さ以外にも様々な困難があり, この素朴な疑問に対する簡単な解答はなさそうである。
ただ, dg category の圏のモデル構造については Tabuada [Tabb; Taba] によるものがあるので,
対象となるモデル圏をある程度限定したら何とかなりそうである。 この問題については, Bergner [Ber07] が色々調べている。 Bergner
は [Ber11] でモデル圏の homotopy pullback も考えている。その元になっているのは, Toën の dg category
に対する構成 [Toë06] のようであるが。
References
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[Ber07]
-
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theories”. In: Topology 46.4 (2007), pp. 397–436. arXiv: math/0504334.
url: http://dx.doi.org/10.1016/j.top.2007.03.002.
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[Ber11]
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Julia E. Bergner. “Homotopy fiber products of homotopy theories”.
In: Israel J. Math. 185 (2011), pp. 389–411. arXiv: 0811.3175. url:
http://dx.doi.org/10.1007/s11856-011-0116-3.
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[Bla08]
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David Blanc. “Comparing homotopy categories”.
In: J. K-Theory 2.1 (2008), pp. 169–205. arXiv: math/0606458. url:
http://dx.doi.org/10.1017/is007011017jkt016.
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[GS]
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J. P. C. Greenlees and B. Shipley. The cellularization principle for
Quillen adjunctions. arXiv: 1301.5583.
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[GS07]
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Paul Goerss and Kristen Schemmerhorn.
“Model categories and simplicial methods”. In: Interactions between
homotopy theory and algebra. Vol. 436. Contemp. Math. Providence,
RI: Amer. Math. Soc., 2007, pp. 3–49. arXiv: math/0609537. url:
http://dx.doi.org/10.1090/conm/436/08403.
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[HV]
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Philip S. Hirschhorn and Ismar Volic. Functors between Reedy model
categories of diagrams. arXiv: 1511.04809.
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[Taba]
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Goncalo Tabuada. A new Quillen model for the Morita homotopy
theory of DG categories. arXiv: math/0701205.
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[Tabb]
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Goncalo Tabuada. Une structure de categorie de modeles de Quillen
sur la categorie des dg-categories. arXiv: math/0407338.
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[Toë06]
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Bertrand Toën. “Derived Hall algebras”. In:
Duke Math. J. 135.3 (2006), pp. 587–615. arXiv: math/0501343. url:
http://dx.doi.org/10.1215/S0012-7094-06-13536-6.
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