圏の一般化や変種

Day と Street [DS04] によると, object の集合が \(S\) である 小圏とは, 頂点集合が \(S\) である quiver の成す monoidal category での monoid object である。よって monoid の定義の条件を弱めたりすることにより, 圏の概念の一般化が得られる。 また quiver の成す monoidal category をより一般的なものに取り替えることによっても, 圏の一般化が考えられる。

Day と Street が考えているのは quantum category である。Quantum groupoid が “morphism が invertible” である quantum category となるように定義したいわけであるから, quantum category はある種の bialgebroid である。

  • quantum category

Chikhladze の [Chi11] は, Day と Street の仕事の詳細を埋めるもののようである。また, [Chi] では quantum category 上の module を考えている。

Monoid の条件を弱める方向では, まず semigroup (monoid の定義で単位元の存在を仮定しないもの) の類似として, identity morphism の存在を仮定しないものが考えられる。Gaucher [Gau03] は, そのようなものを flow と呼び topological flow の model category の構造を考えている。一方, この MathOverflow の質問に対する, Carnahan による回答によると, Barry Mitchell [Mit72] により semicategory として導入されたのが最初のようである。

  • flow あるいは semicategory

nLabのページ が詳しい。

位相や differential graded structure があると, もう一つの条件, 結合法則を弱めることができる。

合成が部分的にしか定義されていないものを考えることもある。

圏に構造を付加することも, もちろん考えられている。

合成とは別の構造をもつ quiver として圏の一般化を定義することもできる。 Fenn, Rourke, Sanderson は, [FRS95] で rack の “many-objectification” として trunk という構造を考えている。

  • trunk

もちろん, 高次化も重要な圏の概念の一般化の方向である。

圏の入力を複数にしたものを multicategory という。

Object の集合 \(S\) を fix した small category は, 頂点集合が \(S\) である quiver のなす monoidal category の monoid object であるが, comonoid object を考えることもできる。その enriched version も考えることができる。

  • cocategory
  • \(k\)-linear cocategory, より一般に monoidal category で enrich された cocategory

例えば, \(k\)-linear cocategory や cogroupoid は, Bichon の Hopf-Galois object についての survey [Bic14] で, Hopf bi-Galois object を扱うための枠組みとして登場する。 Keller と Manzyuk の [KM07] では, cocomplete な \(k\)-linear cocategory の category が equalizer を持つことが示されている。

References

[Bic14]

Julien Bichon. “Hopf-Galois objects and cogroupoids”. In: Rev. Un. Mat. Argentina 55.2 (2014), pp. 11–69. arXiv: 1006.3014.

[Chi]

Dimitri Chikhladze. Quantum modules. arXiv: 1008.1399.

[Chi11]

Dimitri Chikhladze. “A category of quantum categories”. In: Theory Appl. Categ. 25 (2011), No. 1, 1–37. arXiv: 0910.0512.

[DS04]

Brian Day and Ross Street. “Quantum categories, star autonomy, and quantum groupoids”. In: Galois theory, Hopf algebras, and semiabelian categories. Vol. 43. Fields Inst. Commun. Providence, RI: Amer. Math. Soc., 2004, pp. 187–225. arXiv: math/0301209.

[FRS95]

Roger Fenn, Colin Rourke, and Brian Sanderson. “Trunks and classifying spaces”. In: Appl. Categ. Structures 3.4 (1995), pp. 321–356. url: http://dx.doi.org/10.1007/BF00872903.

[Gau03]

Philippe Gaucher. “A model category for the homotopy theory of concurrency”. In: Homology Homotopy Appl. 5.1 (2003), pp. 549–599. arXiv: math/0308054. url: http://projecteuclid.org/euclid.hha/1139839943.

[KM07]

Bernhard Keller and Oleksandr Manzyuk. “Equalizers in the category of cocomplete cocategories”. In: J. Homotopy Relat. Struct. 2.1 (2007), pp. 85–97. arXiv: math/0612175.

[Mit72]

Barry Mitchell. “The dominion of Isbell”. In: Trans. Amer. Math. Soc. 167 (1972), pp. 319–331. url: http://dx.doi.org/10.2307/1996142.