Moment graph とその上の sheaf

Moment graph は, 組み合せ論と代数幾何学の関係の中で登場した概念である。 言葉は, Braden と MacPherson により [BM01] で導入されたが, もっと前から使われていたようである。 有向グラフの各辺に, あるベクトル空間の中の方向が付いたもの, より正確には辺があるベクトル空間の projective space の点でラベル付けされたものである。

Moment graph とその上の sheaf については, Fiebig の [Fie08] の §2 に簡潔にまとめられている。例として次のものが挙げられている:

  • 頂点1つで辺がないもの
  • 頂点2つが1本のラベル付けられた辺で結ばれているもの
  • Coxeter system から作られるもの
  • symmetrizable Kac-Moody algebra の Soergel category \(\mathcal{O}\) から作られるもの
  • Equivariantly formal な torus action を持つ多様体から構成されるもの (GKM-graph)

この中で, Coxeter system から作られるものと torus の作用から作られるものが基本的である。

Braden と MacPhersonは, toric varietyintersection homology組み合せ論的に表わすために, この概念を導入した。 有限次元 complex Lie algebra の flag variety の場合, Braden と MacPherson の moment graph は Coxeter system から作られたものと一致する。

Coxeter system から作られるものについては, Fiebig の [Fie06] を見るとよい。

他にも moment graph が自然に現れる場面は色々ありそうである。例えば, real hyperplane arrangement に対してはtope graph と呼ばれるグラフが作られるが, Coxeter system に対する moment graph の構成を真似して moment graph が作れそうである。

References

[BM01]

Tom Braden and Robert MacPherson. “From moment graphs to intersection cohomology”. In: Math. Ann. 321.3 (2001), pp. 533–551. arXiv: math/0008200. url: http://dx.doi.org/10.1007/s002080100232.

[Fie06]

Peter Fiebig. “Kazhdan-Lusztig combinatorics via sheaves on Bruhat graphs”. In: Algebraic and geometric combinatorics. Vol. 423. Contemp. Math. Providence, RI: Amer. Math. Soc., 2006, pp. 195–204. eprint: \href{http://arxiv.org/abs/math/0512311}{arXiv:math/0512311}.

[Fie08]

Peter Fiebig. “Sheaves on moment graphs and a localization of Verma flags”. In: Adv. Math. 217.2 (2008), pp. 683–712. arXiv: math/0505108. url: http://dx.doi.org/10.1016/j.aim.2007.08.008.