束は英語では lattice と呼ばれる。岩波の数学辞典では, lattice-ordered set とも呼ばれている。 凸多面体など,
組み合せ論的な構造を表わすときによく使われる。 また, 位相の一般化である locale の定義にも必要である。
組み合せ論で扱うものは基本的に有限集合なので, 任意の二元についての \(\sup \) と \(\inf \) の存在で十分である。しかし, 位相の成す lattice
のような場合は, 任意の部分集合の \(\sup \) や \(\inf \) を考える必要があるため complete lattice の概念が必要になる。
Complete lattice の圏の morphism を join を保つものに制限した圏を sup-lattice の圏という。
Sup-lattice の圏では, Abel群の tensor product を真似て tensor product が定義でき, monoidal
category になる。
- sup-lattice の圏の monoidal structure
Quantale は, この monoidal structure の下での monoid object である。
代数的トポロジーに関係したものとしては, 安定ホモトピー論に登場する Bousfield lattice がある。
束に \(\Rightarrow \) を追加したものを Heyting algebra という。
Stevenson [Ste18] は complete Heyting algebra から tensor triangluated category
を構成することを考えている。その Bousfield lattice が元の Heyting algebra のブール代数化になっているようである。
代数幾何学では, 可換環の (素) イデアルの集合が基本的であるが, その性質を抽象した ideal lattice という概念を, Buan と
Krause と Solberg が [BKS07] で考えている。可換環の \(\mathrm {Spec}\) の一般化が定義でき, 興味深い。
- ideal lattice
- ideal lattice の prime ideal spectrum
任意の部分集合 \(A\subset L\) に対し \(\bigvee A\) が存在し, 分配法則 \[ b\wedge \left (\bigvee A\right ) = \bigvee _{a\in A} (b\wedge a) \] が成り立つような lattice \(L\) を frame と呼ぶ。
位相空間 \(X\) の開集合の成す lattice \(\cO _{X}\) が典型的な例である。 この対応により sober space と spatial frame の
category の同値が得られる, というのが Stone duality である。 簡潔にまとまったものとしては, 例えば, Krause と Letz の
[KL23] の §2 がある。
- sober space
- Stone duality
ただし, Stone が最初に [Sto36] で証明したのは, Boolean algebra と Stone space の間の duality である。
Stone space とは, compact, Hausdorff, totally disconnected space のことであるが, これは
profinite set と同じことである。 これについては, Johnstone の本 [Joh82] がある。
- Stone space or profinite set
- Boolean algebra
References
-
[BKS07]
-
Aslak Bakke Buan, Henning Krause, and Øyvind Solberg. “Support
varieties: an ideal approach”. In: Homology,
Homotopy Appl. 9.1 (2007), pp. 45–74. arXiv: math/0508379. url:
http://projecteuclid.org/euclid.hha/1175791087.
-
[Joh82]
-
Peter T. Johnstone. Stone spaces. Vol. 3. Cambridge Studies in
Advanced Mathematics. Cambridge University Press, Cambridge,
1982, pp. xxi+370. isbn: 0-521-23893-5.
-
[KL23]
-
Henning Krause and Janina C. Letz. “The spectrum of a
well-generated tensor-triangulated category”. In: Bull. Lond. Math.
Soc. 55.2 (2023), pp. 680–705. arXiv: 2203.03249.
-
[Ste18]
-
Greg Stevenson. “Complete Boolean algebras are Bousfield lattices”.
In: Geometric and topological aspects of the representation
theory of finite groups. Vol. 242. Springer Proc. Math. Stat.
Springer, Cham, 2018, pp. 393–405. arXiv: 1707.06007. url:
https://doi.org/10.1007/978-3-319-94033-5_16.
-
[Sto36]
-
M. H. Stone. “The theory of representations for Boolean algebras”.
In: Trans. Amer. Math. Soc. 40.1 (1936), pp. 37–111. url:
https://doi.org/10.2307/1989664.
|