Linear Category

可換環 \(k\) に対し, \(k\)-module の成す symmetric monoidal categoryenrich された category を \(k\)上の linear category という。

まず, ホモロジー代数で使われる additive category や Abelian category の基礎として使われる。

Barry Mitchell の [Mit72] のタイトルにもあるように, \(k\)-linear category は “\(k\)-algebra with several objects” とみなすことができる。つまり object が一つだけの \(k\)-linear category が \(k\)-algebra である。当然, \(k\)-algebra に関する概念で \(k\)-linear category に一般化されているものも多いし, \(k\)-algebra で成り立つ性質を一般化しようという試みもある。

\(k\)-linear category \(C\) が small の場合, object の集合を \(C_{0}\) とし \[ C_{1} = \bigoplus _{x,y\in C_{0}} C(x,y) \] と表すと, \(C_{0}\) で生成された free \(k\)-module \(kC_{0}\) は, \(C_{0}\) の対角写像で \(k\)-coalgebra になり, \(C_{1}\) は \(kC_{0}\) 上の bicomodule になる。よって cotensor product \(C_{1}\Box _{kC_{0}}C_{1}\) が定義できるが, \(C\) の morphism の合成は \[ C_{1}\Box _{kC_{0}}C_{1} \rarrow {} C_{1} \] と表すことができ, \(C\) が \(k\)-linear category であることと \(kC_{0}\)-\(kC_{0}\)-bicomodule の category での monoid object であることは同値になる。

更に, \(k\)-linear category \(C\) から \(k\)-module の category \(\lMod {k}\) への covariant functor \(k\)-linear functor \(M:C\to \lMod {k}\) は, この monoid object \(C_{1}\) 上の左加群 \[ C_{1}\Box _{kC_{0}} M \rarrow {} M \] と同値になる。Contravariant functor は右加群に対応する。 よって contravariant functor \(M\) と covariant functor \(N\) の \(C\) 上の tensor product \(M\otimes _{C}N\) なども定義できる。

この視点から, 加群の理論やホモロジー代数を linear functor に拡張することができ, 実際古くから考えられている。 例えば, flat module であることと有限生成 free module の filtered colimit であることが同値である, という Govorov-Lazard theorem の一般化は, Oberst と Röhrl [OR70] により得られている。

  • flat functor
  • Govorov-Lazard theorem の linear functor への一般化

\(k\)-linear category のもう一つの用途としては, ベクトル空間の高次版がある。 最初にこのアイデアを思いついたのは誰なのだろう。 Baez 達なのだろうか。Brandenburg と Chirvasitu と Johnson-Freyd の [BCJ15] では, linear dual の定義も提案されている。

  • 体上の linear category の linear dual

References

[BCJ15]

Martin Brandenburg, Alexandru Chirvasitu, and Theo Johnson-Freyd. “Reflexivity and dualizability in categorified linear algebra”. In: Theory Appl. Categ. 30 (2015), Paper No. 23, 808–835. arXiv: 1409.5934.

[DSS19]

Christopher L. Douglas, Christopher Schommer-Pries, and Noah Snyder. “The balanced tensor product of module categories”. In: Kyoto J. Math. 59.1 (2019), pp. 167–179. arXiv: 1406.4204. url: https://doi.org/10.1215/21562261-2018-0006.

[Mit72]

Barry Mitchell. “Rings with several objects”. In: Advances in Math. 8 (1972), pp. 1–161. url: http://dx.doi.org/10.1016/0001-8708(72)90002-3.

[OR70]

Ulrich Oberst and Helmut Röhrl. “Flat and coherent functors”. In: J. Algebra 14 (1970), pp. 91–105. url: https://doi.org/10.1016/0021-8693(70)90136-5.

[Yet09]

D. N. Yetter. “On deformations of pasting diagrams”. In: Theory Appl. Categ. 22 (2009), No. 2, 24–53. arXiv: 0709.3778.