被覆の各部分集合が可縮なとき, 被覆から作られる poset の分類空間が元の空間とホモトピー同値である, という事実は nerve
theorem と呼ばれている。もちろん, 被覆に対して各部分集合が可縮ということ以外にもそれなりの条件を科す必要があるが。
特に, 組み合せ論の問題に代数的トポロジーの道具を使おうとするときには, 基本的な定理である。 Persistent homology
の拠り所となる事実でもある。
組み合せ論の文献では, Björner のsurvey [Bjö95] がよく参照されているが, より古くは, Segal の [Seg68] や
McCord の [McC67] に書かれている。 Govc と Skrava [GS18] では, Hatcher の本 [Hat02] の
Corollary 4G.3 が参照されている。 恐らくこれが一番読みやすいと思う。
Adamaszek らの [Ada+16] では Borsuk の [Bor48] も参照されている。また, Govc と Skrava の
[GS18]では, Alexandroff の [Ale28] が, 参照されている。 これが nerve theorem が最初に現れた文献なのだろうか。
ホモロジー版は Leray [Ler45] により発見されていたようであるが。 Chen と Looijenga の [CL21] では「Weil
が証明した」 と書かれているが, 現在の形のものは Weil [Wei52] によるようである。
Functorial であることに拘ったものとしては, Bauer らの [Bau+] がある。その Introduction
に歴史的なことも書かれている。
Chen と Looijenga は, 論文 [CL21] で可縮な空間ではなく, \(K(\pi ,1)\) による被覆から元の空間のホモトピー型を復元することを考えている。
被覆のそれぞれの空間が \(K(\pi ,1)\) ならば, それらの universal cover を取ることにより, 可縮な空間の族が得られる。包含を cover
する写像をそれらの間の morphism と定義することにより small category ができ, その分類空間が元の空間とホモトピー同値になるのである。
この事実は, 元々は Lubkin が [Lub67] で証明したことのようである。 Chen と Looijenga はその一般化を得ている。
よく用いられるのは, 共通部分を取ることで閉じた開被覆で, それぞれの開集合が可縮ならば, その開集合達が包含関係で成す poset
の分類空間が元の空間と (弱) ホモトピー同値になる, という主張である。
Segal [Seg68] は, topological category の分類空間を用いることで, この「各開集合が可縮」という条件を除くことができることに気が付いた。
現代的には, Duggar と Isaksen [DI04] が示しているように, homotopy colimit を用いるべきだろう。
別の方向では, Björner が [Bjö03] で, 弱ホモトピー同値という結論を弱め, ホモトピー群がどこまで消えているかについての評価を得ている。
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