多様体の分類

多様体を分類するのは一般に難しい問題であるが, \(1\)次元多様体の分類は初等的にできる。例えば Fuks と Rokhlin の [FR84] の pp.139-140 を見るとよい。\(2\)次元多様体, つまり曲面の分類は初等的なトポロジーの教科書に書いてある。 例えば加藤の [加藤十78] に詳しい。ミスプリント (間違い?) は多いが, それを自分で直して読むのは勉強になる。 \(3\)次元と\(4\)次元が特別な次元であることも知っているとよい。

分類の基準として, もちろん, 同相で分類するか, PL同相で分類するか, 微分同相で分類するか, など色々な基準が考えられる。

コンパクト位相多様体の同相類が可算個しかないことは, Cheeger と Kister [CK70] により示されている。

微分同相について有名な結果としては, 例えば, \(n\) 次元球面の微分構造の微分同相類の集合 \(\Theta _n\) の濃度の Bernoulli 数を用いた記述がある。これは\(J\) homomorphism に関係するもので, Kervaire と Milnor の結果 [KM63] である。

球面の次に簡単な多様体として, homology が \(\Z \) 3つから成るものを考えたのが, Kramer と Stolz の [KS07] である。 彼等は完全な分類を与えている。

多様体の分類で重要な役割を果す道具として以下のものがある:

\(h\)-cobordism theorem は Smale による \(5\)次元以上の Poincaré 予想の解決で本質的な役割を果すものである。 古典的な定理のように思えるが, \(4\)次元以下の場合には, まだ分っていないことも多い。Chen は smooth \(4\)-manifold, 特に, symplectic \(4\)-manifold (orbifold) の場合 (elliptic \(3\)-manifold の \(s\)-cobordism) を [Che06] で考えている。

References

[Che06]

Weimin Chen. “Smooth \(s\)-cobordisms of elliptic 3-manifolds”. In: J. Differential Geom. 73.3 (2006), pp. 413–490. arXiv: math/0403396. url: http://projecteuclid.org/euclid.jdg/1146169935.

[CK70]

J. Cheeger and J. M. Kister. “Counting topological manifolds”. In: Topology 9 (1970), pp. 149–151. url: https://doi.org/10.1016/0040-9383(70)90036-4.

[FR84]

D. B. Fuks and V. A. Rokhlin. Beginner’s course in topology. Universitext. Berlin: Springer-Verlag, 1984, p. xi 519. isbn: 3-540-13577-4.

[KM63]

Michel A. Kervaire and John W. Milnor. “Groups of homotopy spheres. I”. In: Ann. of Math. (2) 77 (1963), pp. 504–537.

[KS07]

Linus Kramer and Stephan Stolz. “A diffeomorphism classification of manifolds which are like projective planes”. In: J. Differential Geom. 77.2 (2007), pp. 177–188. arXiv: math/0505621. url: http://projecteuclid.org/euclid.jdg/1191860392.

[加藤十78]

加藤十吉. トポロジー. Vol. 11. サイエンスライブラリ 理工系の数学. 東京: サイエンス社, 1978.