モノイド \(M\) が与えられたとき, それに逆元を形式的に付け加えて 群にすることは, 古くから考えられている。 そのような操作を group
completion という。 例えば, 負の整数は \(0\) 以上の整数が加法に関して成す monoid の group completion
により生れたものである。より新しくは, \(K\)-theory (\(K_0\)) の定義がある。 位相空間の \(K\)-theory の場合, finite rank vector
bundle の同型類の集合が \(\oplus \) に関して成す monoid の group completion として得られる。
Dehornoy と Paris の [DP99] では, monoid (semigroup) の group completion については,
Clifford と Preston の [CP61] が参照されている。
一般化としては, まず many-objectification がある。つまり, モノイドや群を object 1つの small category
とみなし, category に対する操作に一般化することである。全ての morphism の逆を付け加えると groupoid になる。
Group completion の一般化なので groupoid completion というのがよさそう であるが, groupoid of
fractions とか enveloping groupoid と呼ばれることの方が多いようである。 構成については, Dehornoy らの
[Deh+15] の Chapter III section 3 を見るのが良いと思う。
- groupoid completion or groupoid of fractions or enveloping groupoid
この groupoid of fractions という言葉は, Gabriel と Zisman [GZ67] の category of fractions
から来ているのだと思う。
Gabriel と Zisman の考えたのは, 全ての morphism ではなく, 特定の morphism のみ可逆にすることであり,
そのような操作は category の localization と呼ばれている。環の局所化の一般化になっているからである。
モノイドの category 化としては, monoidal category があるが, 可換モノイドに対する Grothendieck
group の構成の categorification としては, Quillen による構成がある。
もう一つの一般化は, up to homotopy にすることである。代数的トポロジーで は, 古くから “up to homotopy で
monoid”になっているものが重要な役割を 果してきた。(基点付きの) ループ空間 \(\Omega X\) を始めとして, 様々な例が あり, それらを研究する Hopf
空間という分野が確立 された。
これらは結合法則などが up to homotopy でしか成り立たなかったり, そもそ も成り立たなかったりする。 ループ空間の場合は up
to homotopy で逆元を 持つため群の “up to homotopy”版と言える。よって, このようなものについ ては group
completion は up to homotopy で associativeなものを ループ空 間にする操作と考えるのがよい。そのようなものを
homotopy theoretic group completion という。
References
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[CP61]
-
A. H. Clifford and G. B. Preston. The algebraic theory of
semigroups. Vol. I. Mathematical Surveys, No. 7. Providence, R.I.:
American Mathematical Society, 1961, pp. xv+224.
-
[Deh+15]
-
Patrick Dehornoy, François Digne, Eddy Godelle, Daan Krammer,
and Jean Michel. Foundations
of Garside theory. Vol. 22. EMS Tracts in Mathematics. Author
name on title page: Daan Kramer. European Mathematical Society
(EMS), Zürich, 2015, pp. xviii+691. isbn: 978-3-03719-139-2. url:
https://doi.org/10.4171/139.
-
[DP99]
-
Patrick Dehornoy and Luis Paris. “Gaussian groups and
Garside groups, two generalisations of Artin groups”. In:
Proc. London Math. Soc. (3) 79.3 (1999), pp. 569–604. url:
http://dx.doi.org/10.1112/S0024611599012071.
-
[GZ67]
-
Peter
Gabriel and Michel Zisman. Calculus of fractions and homotopy
theory. Ergebnisse der Mathematik und ihrer Grenzgebiete, Band
35. Springer-Verlag New York, Inc., New York, 1967, pp. x+168.
url: https://doi.org/10.1007/978-3-642-85844-4.
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