Bockstein 作用素

アーベル群の単完全列 \[ 0 \longrightarrow A \longrightarrow B \longrightarrow C \longrightarrow 0 \] に対し, これらを係数とするコホモロジーの長い完全列が得られるが, その連結準同型 \[ H^n(X;C) \longrightarrow H^{n+1}(X;A) \] は, \(A=C=\Z /p\Z \) で \(B=\Z /p^2\Z \) のとき, mod \(p\) の Bockstein作用素と呼ばれる。

その長い完全列から得られる exact couple により, spectral sequence ができるが, それを Bockstein spectral sequence という。 その高次の微分として高次のBockstein作用素が得られる。

Serre spectral sequence との関係では, Serre spectral sequence の微分と higher Bockstein operation との関係を記述する, いわゆる Bockstein Lemma がある。

  • Bockstein Lemma

Higher Bockstein operation を決定するときにとても有用であるが, 私は, Rochester 大学に留学して Fred Cohen 先生から教えてもらうまでは全く知らなかった。 それもそのはずで, Bockstein Lemma が書いてある文献は, それほど多くない。 標準的な文献としては, Mosher と Tangora の本 [MT68] の Chapter 11 を挙げるべきだろう。 個人的には, 私が Rochester で一緒だった Choi の論文 [Cho00] をお勧めする。Choi は, Mosher と Tangora の本以外では, Waggoner の thesis [Wag85] を挙げている。

Chromatic な視点からは, \(p=v_{0}\) なので, \(p\) を \(v_{n}\) に一般化することが考えられる。 そのような作用素は, \(n\)次Morava \(K\)-theory \(K(n)\) の Atiyah-Hirzebruch スペクトル系列の微分として定義するのがよい。 そこで [Tam03] では, \(v_{n}\)-Bockstein 作用素と呼び, 多重ループ空間homology operation との関係を調べた。

  • \(v_{n}\)-Bockstein 作用素

類似のものとしては, Johnson と Wilson [JW75] による \(\mathrm{BP}\) に関連したホモロジー論達の間の \(v_n\)-Bockstein operation がある。

References

[Cho00]

Younggi Choi. “On the Bockstein lemma”. In: Topology Appl. 106.2 (2000), pp. 217–224. url: http://dx.doi.org/10.1016/S0166-8641(99)00083-8.

[JW75]

David Copeland Johnson and W. Stephen Wilson. “\(BP\) operations and Morava’s extraordinary \(K\)-theories”. In: Math. Z. 144.1 (1975), pp. 55–75.

[MT68]

Robert E. Mosher and Martin C. Tangora. Cohomology operations and applications in homotopy theory. New York: Harper & Row Publishers, 1968, pp. x+214.

[Tam03]

Dai Tamaki. “Homology operations and \(v_n\)-Bockstein operations”. In: Topology Appl. 128.2-3 (2003), pp. 209–229. url: https://doi.org/10.1016/S0166-8641(02)00114-1.

[Wag85]

Daniel Floyd Waggoner. Loop Spaces and the Classical Unitary Groups. Thesis (Ph.D.)–University of Kentucky. ProQuest LLC, Ann Arbor, MI, 1985, p. 85.