Groupoidの定義は, 圏論の基本を知っていれば難しくはない。普通は small category の特別なものとして定義する。
本質的には同じであるが, 二つの集合とその間の写像の組 \(\Gamma = (G_0,G_1, m, s, t, u)\) で, ある条件をみたすもの, と定義すれば圏の言葉は使わなくてもよい。 また object
の集合は morphism の集合のレトラクトであるから, morphism の集合だけあればよい。Renault の [Ren80] では,
その流儀で定義してある。Moerdijk の [Moe02] は, orbifold の基礎を groupoid の言葉で述べたものであるが,
groupoid を学ぶとき, 特に topological groupoid を使うときには役に立つ。
もう一つのアプローチとして, Heunen, Contreras, Cattaneo [HCC13] による, 集合を object, relation
を morphism とする category での relative Frobenius algebra という定義もある。
このような抽象的な概念を理解するためには, できるだけ多く例を考えてみるのがよい。
ある集合上の同値関係は groupoidとみなすことができるが, 逆に groupoid はその object の集合上に同値関係を定める。その同値類の集合は
Mondello の [Mon08] では coarse space と呼ばれている。
- groupoid \(\Gamma \) の構造により定義される \(\Gamma _{0}\) の上の同値関係
- groupoid の underlying coarse space
群の一般化として扱うためには, 群に関する重要な概念の groupoid 版があることを知っているべきだろう。特に, free product
(coproduct) や amalgamated product (pushout) の一般化があることに注意すべきである。
- free groupoid
- normal subgroupoid
- normal subgroupoid による quotient groupoid
- product groupoid
- groupoid の free product
- groupoid の pushout
- groupoid の圏は complete かつ cocomplete である。
Groupoid の図式の limit を構成するのは簡単である。Objectの 集合と morphism の集合の図式でそれぞれ (集合の圏での)
limit をとればよい。残念ながら colimit がそれ程単純ではないことは, 群の圏での colimit の構成を考えてみれば想像がつくだろう。まずは,
groupoid の pushout をどう構成すればよいか, 自分なりに考えてみると良いだろう。Groupoid (や small category) の
colimit については Higgins の本 [Hig71] で扱われている。
Groupoid を考えるのは, 同値関係で割った空間を関数空間を用いて考える際には自然なことである。 [Mar] の解説にもあるように, \(X/\sim \)
上の関数として \(X\) 上の関数で \(x\sim y\) なら \(f(x)=f(y)\) であるものを考えては, 同値関係の情報が無くなってしまう。\(X\) の点を object, 同値関係を morphism
として groupoid とみなし, object の集合だけでなく morphism の集合上の関数も考えるべきなのである。ただし, そうすると
\(C^*\)-algebra の同型というのはきつすぎる。 Morita 同値が正しい概念である。これについても Moerdijk の [Moe02]
を見るのが良いと思う。
- groupoid の準同型
- groupoid の Morita同値
- groupoid の間の generalized map
Groupoid の間の generalized map を morphism とする圏における isomorhism が groupoid の
Morita 同値になっている。
- generalized map は groupoid の準同型と Morita 同値の合成に分解できる
Groupoid の表現を考えるときに, 何に表現するのが一番いいのだろう。Amini [Ami07; Amia; Amib;
Ami10] は Tannaka-Krein duality の一般化を考える際に measurable field of Hilbert space
を用いるのがよいことを発見した。
Finite groupoid に対しては, その “groupoid cardinality” が定義される。 Morton の [Mor06]
に定義がある。
代数的トポロジーの視点からは, groupoid の作用や分類空間を考えるのが自然である。 また, 群の作用とその作用する空間を合せて
topological groupoid とみなすこともよく行なわれる。
- groupoid の空間への 作用
- groupoid の分類空間
分類空間の構成は, もちろん, small category (topological category) として nerve を取るものであるが, その
nerve を用いて inertia groupoid という新しい groupoid が作られる。
Inertia groupoid に関連した構成として Luperucio-Uribe の loop groupoid がある。Inertia
groupoid は, その subgroupoid と Morita 同値になる。
- Lupercio と Uribe の loop groupoid [LU02]
References
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https://doi.org/10.1016/j.aim.2006.09.015.
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Jean Renault. A groupoid approach to \(C^{\ast } \)-algebras. Vol. 793. Lecture
Notes in Mathematics. Springer, Berlin, 1980, pp. ii+160. isbn:
3-540-09977-8.
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